2012年10月10日水曜日

見えないのに見ている?


「サブリミナル」という言葉を、聞いた事があるでしょうか。テレビ画面や映画館の画像などに、通常の視野では見えないほど短い映像を繰り返し流して、観る者の潜在意識に訴える手法です。これにより、観賞者は自覚がないうちにその映像が潜在意識に残ることを「サブリミナル効果」と言います。

 

その実証は19世紀から始まり、現在は広告研究、感情研究、社会心理学、臨床倫理学など広い分野で研究が進んでいるそうです。よく知られるのは、1957年、アメリカ・ニュージャージー州の映画館でおこなわれた実験です。ある映画のフィルムに、「コーラを飲もう」「ポップコーンを食べよう」というメッセージを二重映写で入れて上映したところ、コーラとポップコーンの売り上げが向上しました。なんだか、無意識に自分の精神がコントロールされるようで、怖い実験ですね。しかし、この結果はサブリミナルとは関係なかったようです。数年後、同じ映画館で「オレンジジュースを飲もう」を入れたのですが、売り上げに変化はありませんでした。要は、アメリカ人はコーラを飲み、ポップコーンを食べながら映画を観るのが好きという、単純な理由だったのです。

 

人間は、自分の目で捉えた情報を脳が認識するまでに0・1秒かかるそうです。それ以上短い情報は、認識できないと言う事です。サブリミナルは0・03秒なので、その効果は現在では疑問視される場合が多いようです。つまり、見て気付かないモノが潜在意識に残る事はないと考えられているのです。ただ、人間の視覚や聴覚、脳の認識力の可能性は完全に解明されておらず、いずれはサブリミナル効果が実証されるかもしれないのです。

 

サブリミナルは映像だけではなく、音でもその効果が期待されています。例えばお店で、軽犯罪防止のサブリミナルメッセージを含んだ音楽を流しているそうですよ。実際に効果が現れたかどうかは解りませんが、気付かないうちに意識操作されてしまうとすれば、その使い方には充分な配慮と慎重な考慮が必要でしょう。

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