2013年10月22日火曜日

奇跡の血


1700年以上過ぎた現在でも、液体になる血が存在します。しかもその血は毎年3回、同じ日に「奇跡」を起こすと言うのです。宗教的な奇跡は、信者がそうだと信じていればそれでいいのですが、あまりにも現実からかけ離れているお話は、やはり謎解きしてみたくなるのです。

 
今回語るのは、ナポリの大聖堂にある「聖ヤヌアリウスの血」です。その人物は、紀元3世紀にイタリアで熱心にキリスト教を広めたサン・ジェンナロという名前の司祭で、紀元309年9月19日に彼が亡くなったとき、その血を信者の女性が瓶に詰めたそうです。それが現在でも、5月の第一日曜日と9月19日、12月16日の3回公開され、人々の祈りの中で沸騰し液化するのです。銀製の小瓶に入った血は、瓶を壊さなければ取り出せません。それでも1902年、ナポリ大学の科学者が光を当てた検査をしたところ、瓶の液体には間違いなく血液の成分が含まれている事が判明しました。

 
実はこの中身が、聖ヤヌアリウスと呼ばれるサン・ジェンナロ司祭の血かどうかは、かなり怪しいそうです。と言うのも、彼の記録はまったく残されておらず、実在したかどうかも不明なのです。さらに、彼の血が入った小瓶が記録に登場するのは1389年であり、本人が亡くなったとされる時代から1000年以上も過ぎた時期でした。つまり、聖ヤヌアリウスの伝説に合わせ、中世に誰かが作った物と思われるのです。

 
それにしても、長い歳月小瓶の中に入っており、公開されたときだけ沸騰し液化する物質などあるのでしょうか。それは、塗料だそうですよ。ペンキなどの塗料には、現代化学で「チキソトロピー」と呼ばれる性質があります。普段はゼリー状でも、圧力や衝撃を加えると液化して、しばらくそのままにしておくと、また元の状態に戻る性質だそうです。実際、1991年にイタリアの科学者が「聖ヤヌアリウスの血」と同じ性質の物質を作り出す事に成功しています。その約90年前の光を使った検査では、古い血液と塗料の光の吸収率がとてもよく似ている事実が、まだ解明されていなかったのです。

 
つまり「聖ヤヌアリウスの血」の奇跡とは、公開前に教会の関係者()が小瓶を何度か振り、中身を液化させていたのが現実だったようで…。

2013年10月5日土曜日

サンドウィッチを考え出した人は誰?


パンの間に具を挟み、片手で簡単に食べられるこのメニュー。忙しいときの食事に最適だから、考え出した人物も当然、高名なシェフではなく常に忙しい人でした。それは、18世紀のイギリス貴族ジョン・モンタギューです。海軍大臣や国務大臣を歴任した人物ですが、彼は無類のギャンブル好きでもよく知られておりました。夜ごとカジノに繰り出しては、お財布がカラになるまでカード遊びに熱中したそうですよ。

 
そんなある日のこと。カードに集中していたモンタギューに、係の人が食事の時間だと告げます。すると、彼はこう応えました。「わたしは今、手が離せない。だから、食パン2枚とローストビーフをここに持って来てくれ」。それが運ばれて来たところで、モンタギューはパンの間にローストビーフを挟み、片手でカードを動かしながら、もう片方の手でそれを食べ始めたのです。同席の人々は貴族らしからぬ様子に驚きましたが、「これは便利で手軽だ」とマネをしました。軽食サンドウィッチ誕生の瞬間でした。

 
この軽食の名前の由来は、モンタギューの伯爵名「サンドウィッチ4世」です。現在も、アメリカには彼の子孫が経営するサンドウィッチ専門店があり、各州でチェーン展開しています。お店の名物メニューは、元祖サンドウィッチのローストビーフのホットサンドだそうですよ。