現在、約500万種類が存在すると言われる、地球の多種多様な生き物たち。そのすべての始まり、「最初のいのち」は、どこでどのように誕生したのでしょう。それは偶然の奇跡なのか。あるいは、意図的な計画だったのか。いずれにしても、気が遠くなるほど壮大な物語です。今回のお話は、心の視野をいつもより少し広げて読んで頂ければ、それなりに楽しいのでは…と思います。
現在確認されている世界最古の生物化石は、約35億年前の物です。そのため、地球に最初の「いのち」が誕生したのは、およそ40億年前と考えられているそうです。太陽から3番目の位置に、地球という名の惑星が生まれたのが45億年前。その原始の地球の大気に含まれていた水や二酸化炭素などが、紫外線、カミナリ、宇宙線といったエネルギーを受けて化学反応し、アミノ酸や核酸が合成されました。地球誕生から5億年の間に、この合成物が海に溶け込みタンパク質となり、「いのち」の元が生まれます。それが、姿ある生物に進化していったというのが、最も有力な説です。
しかし最近、世界最速のコンピュータでシミュレーションしたところ、数億年で生命が誕生するのは不可能という答えが出ました。そこで浮上したのが、地球の生命の源は宇宙から来たという説です。1986年におこなわれたハレー彗星の調査では、彗星の核から大量の有機物が発見されています。また、アミノ酸が発見された隕石もあります。さらに2001年、オーストラリアで回収された「マーチン隕石」からは糖やアルコール化合物が検出されたのです。アミノ酸はもちろん、とくに糖の発見は「いのちの宇宙飛来説」をかなり現実的な説にしました。
都市伝説っぽいお話では、地球の生命は異星人によって作られたという説もあります。はるか昔、高度な文明を持つ異星人が遺伝子情報を入れた膨大な数のカプセルを宇宙空間に放出し、そのひとつが地球に辿りついたと言うのです。つまり、原始の生命が生まれて進化し、人類が誕生して現在に至るまでは、異星人の「プロジェクト」なのだそうですよ。凄いお話ですが、これを大真面目に(?)提唱する人もいるのです。
「最初のいのち」は、地球の大気の化学反応で生まれたのか。それとも宇宙から飛来した糖やアミノ酸なのか。わたしたちがこの惑星で営むいのちの物語の幕開けは、現在も科学がその解明への挑戦を続けています。