2013年7月30日火曜日

聖なる杯の物語


それを手にした者には、永遠の命が約束されたり、再生や復活の奇跡が起きるといわれます。その存在や様々な奇跡は聖書に記されておらず、また、キリスト教徒の必須教養でもありません。しかし、2000年以上の長き歳月の中で語り継がれ、数多くの人々が探し求めた「聖杯」。その物語を聖杯伝説と言い、創作されたお話では、「アーサー王と円卓の騎士」がよく知られています。ただ今回は、現実のお話を語ります。それはまさに、最高の都市伝説というべき聖なる杯の物語です。

 
イエス・キリストが最後の晩餐でワインを注ぎ、十字架で息絶えた彼の血を受けたとされる杯。彼の弟子アリマタヤのヨセフにより、ブリタニア地方(現在のグレートブリテン島)に埋められたとされる杯の、現実的な行方が浮上したのは、1947年、エルサレム南東部の洞窟で膨大な数の古文書が発見されたときでした。その中に、西暦74年のローマ軍の攻撃直前、大量の財宝をエルサレムの神殿に埋めたという記述がありました。この作業には、イエスの周辺にいた人々も関わっていた可能性が高く、埋めた財宝の中に聖杯があったのでは…と考えられたのです。ただ、ローマ軍の破壊で神殿は跡形もなく崩れてしまいました。

 
エルサレム壊滅からおよそ1000年後。この場所で聖杯を探したのが、あのテンプル騎士団です。彼らは神殿跡地を発掘し、かなりの財宝を発見しますが、その中に聖杯があったという話が残されています。聖杯はスコットランドに運ばれ、エジンバラに建てた教会の地下に埋められます。この時期と、アーサー王の聖杯伝説の誕生が重なっており、それが偶然ではないと指摘する歴史学者もいるのです。ただし現在は、この教会の地下に「それらしき物」はありません。また、テンプル騎士団と深い関わりがあったキリスト教カタリ派の一部の者が、スコットランドに渡る前に聖杯を持ち逃げしたという説もあります。さらにこの時期から100年後、テンプル騎士団の子孫が大西洋を西へ向けて航海した記録があり、そのとき、聖杯が海を渡ってアメリカ大陸に持ち込まれたとも考えられています。

 
聖杯は、本当に存在するのでしょうか? 現在、「本物を所有している」と主張する団体が複数あるそうです。亡くなった人が生き返るような奇跡が、実際に確認されない限り、そのどれが真の聖杯なのかは永遠の謎です。聖杯には、手にした者に世界を支配する力を与えるという伝説もあり、それに惹かれて探した時の権力者もいました。この伝説が真実ならば、聖杯は永久に姿を隠し続けるかもしれませんね。

2013年7月23日火曜日

「ヨハネの黙示録」の予言は本当か?


肌の色、目の色、それに時代や文化の違いを問わず、ヒトは予言に惹かれますね。街角の占い師の言葉でさえ信じてしまうほどですから、それが聖書に書かれた予言となれば尚の事です。新約聖書の「ヨハネの黙示録」には、例えば第8章に「苦よもぎ」という名の燃える大きな星が天から落ちてきて、地上の水が消え多くの人が亡くなると記されています。この「苦よもぎ」がロシア語ではチェルノブイリになるそうで、あの大事故を予言したと言われます。また、世界の終末には10本の角と7つの頭を持つ巨大な生き物が海から出現し、人類を滅亡させると記され、これが核兵器による最終戦争、いわゆる「ハルマゲドン」なのだそうです。都市伝説的には興味深いお話ですが、聖書を研究している学識者たちの見解によれば、ヨハネの黙示録に記された予言は現代の事ではありません。

 
まず、「ヨハネの黙示録」とはどのような文書なのでしょうか。これは一世紀末のころ、小アジアの西海岸に住むヨハネと名乗る人物が、自分の見た夢を記した文書だと言われます。この「ヨハネ」が、キリストの使徒ヨハネとは別の人物である事は、黙示録が書かれた時代の検証により明らかにされています。さらに、黙示録のヨハネが何者かは、エーゲ海の島にいたらしいという事以外まったく正体不明。つまりヨハネの黙示録とは、正体不明の人物が「わたしはこんな夢を見ました」と記した文書なのです。

 
当時のローマ帝国では、皇帝が神でした。イエスを絶対神とするキリスト教徒の立場は、想像に難くありませんね。ヨハネの黙示録に記された様々な予言は、こうしたキリスト教徒たちを励ますモノであり、「終末」とは、ローマ帝国の終りを示していたそうですよ。ある意味、かなり怪しげな文書であったにも関わらず、聖書の正典とされた原因がここにあると考える研究家も少なくありません。

 
「苦よもぎ」はチェルノブイリではないし、ましてや、海から出現する「666」と暗示された巨大な生き物がハルマゲドンを招くというお話は、完全な都市伝説なのです。

2013年7月18日木曜日

ミロのヴィーナスの腕のお話


「古代から現代に贈られた最高の美」と言われるミロのヴィーナス。ヘレニズム時代の最高傑作でもあるこの像が世に出たのは、1820年の事でした。エーゲ海南西部のミロス島で、ヨルゴスという名の男性が畑を整地している最中、岩を削った空間を見つけ、覆っていた土をさらに掘ると大理石の女性像が現れました。ヨルゴスから購入の話を受けたフランス領事館が本国に知らせ、二ヶ月後、ミロス島を訪れた専門家は、ひと目で超一級品と見抜き、買い取ってフランスに持ち帰ったのです。

 
ミロのヴィーナスの最大の謎として、数多くの研究者たちの興味を惹いたのが、発見当時から失われていた両腕です。はたして、どのような造形だったのか。少し前のめりで、左足を前に出す全体の姿を参考にして、著名な学者たちが様々な説を提唱しました。そんな中で近年になり浮上したのが、製作当初から両腕はなかったのではないか…という説です。

この像が人々を惹き付ける魅力のひとつに、「古代の黄金比」が多用されている事があります。黄金比とは、古代エジプトで発見された、縦と横の比率が1対1・6180…の割合です。最も均整がとれた美しい長方形で、ギザのピラミッド壁面の三角形の高さと底辺の幅、パルテノン神殿を正面から見たときの支柱の高さと建物の横幅などが、この黄金比になっているそうです。ミロのヴィーナスでも、体型や顔形にこの黄金比が使われており、それを守るため意図的に腕をつけなかったというのです。

 
確かに改めてこの像を見ると、左腕は肩から欠けていますが右腕は明らかに人工的に切り取られていますね。興味深い話ではあっても、ほかの説同様にあくまで仮説です。失われた腕が発見されない限り、真実は解明されないでしょう。

ちなみに、ミロのヴィーナスが海外で展示されたのは、現在までにたった一度だけです。それが日本である事実には、日本人としてはちょっと嬉しく感じてしまいます。

2013年7月12日金曜日

かなり怪しい「チャネリング」


「俺の悩みを聞いてくれるのは嬉しいけど、宇宙の偉大な生命体のメッセージが個人的な人生相談なんて…ちょっと変だよなぁ」。友人の言葉は、チャネリングの怪しさを見事に指摘しておりました。

 
チャネリングの実態は、昔からおこなわれていた霊媒の口寄せと同じようなモノです。ただ、霊媒師が亡くなった人の魂の言葉を代弁するのに対し、チャネラーは遠い宇宙の生命体やはるか過去の偉大な人物の言葉だとするので、真偽を確認できないのです。つまり、チャネラー本人がチャネリングできると信じているだけかもしれないし、そこに怪しさが見え隠れするのです。上記の人生相談だけではなく、人類へのメッセージも「受信」するそうですが、その内容は宗教に関する本を何冊か読めば誰にでも考えられるのだとか。

 
では、チャネリングの正体は何でしょうか。手持ち資料によれば、それはふたつあります。まずチャネラー本人の、一種の自己催眠により生じた人格変換現象です。トランス状態からまったく別の人物に変わり、「わたしは○○の時代からメッセージを送る○○だ」と、ときには女性が男性の声で告げるそうですよ。しかもそのほとんどは、催眠状態で現れる本人の潜在意識なのだとか。もうひとつの正体は、そうしたチャネラーの様子を見た依頼人に生じるハーロー効果です。「ハーロー効果」とは心理学が認める現象で、相手の顕著な特徴によりその言葉を信じてしまう事です。例えば、よく知られた大学の教授という肩書の人物が話せば、その内容が荒唐無稽でも「そうかもしれない」と思ってしまいますね。

 
ジュディス・Z・ナイトやエレーヌ・スミットなど、世界に名の知れたチャネラーがすべて怪しいとは申しません。しかし、彼女たちの力が本物だと証明できる術はなく、単に「直感力・観察力・洞察力が強いだけ」と指摘する者がいるのも事実です。現在のチャネリングの主流とされる「宇宙存在」が、それをテーマにした映画「2001年宇宙の旅」の公開前にはまったくなかったのも、また事実なのです。

現代科学を超越するテクノロジーや、今も解明できない歴史の謎の明確な答えが示されたとき初めて、チャネラーの力が立証されるのではないでしょうか。

2013年7月7日日曜日

シャーロック・ホームズに取り憑かれた俳優


映画が庶民の唯一の娯楽だった時代から、その銀幕を彩り続けた「シャーロック・ホームズ」は、イギリスを代表するエンターテイメントのひとつです。中でも1939年から7年間、14本が制作された映画でホームズを演じたバジル・ラズボーンは、ワトソンを演じたナイジェル・ブルースと共にこのエンターテイメントのキャラクターのイメージを定番化させました。そして、長らく続いた定番を変えた人物が、1980年代、グラナダTVのシリーズで主役を演じたジェレミー・ブレッドです。繊細で何事にも妥協しない性格、さらに役者としての完璧さを常に求めていた彼は、原作のホームズを最も忠実に演じきると期待されての抜擢でした。

 
しかし、彼の友人でホームズ役の先輩でもあったロバート・スティーヴンスは、オファーを断ったほうがいいとブレッドに告げています。「きみには無理だ。生活のすべてをホームズに乗っ取られてしまう」と。友人の心配とは裏腹に主役を引き受けたブレッドは、強い情熱と決意でホームズ役に挑みました。そして史上最高、史上最も原作に忠実で正確なシャーロック・ホームズを映像化しようという彼の思いは、自身の心と体を少しずつ変化させていったのです。ときには健全でないと周囲が感じるほどの努力は形となり、それまでのラズボーンのイメージが払拭され、シャーロック・ホームズ=ジェレミー・ブレッドというイメージが定着しました。ただし、その代償がいかに大きかったかは、シリーズの映像からも伺い知る事ができます。

 
「あの男の中に入り込むには、凄まじく深い淵に沈んでいかなくてはならない。そんな事をしたら、きみは自滅してしまうよ」。ブレッドに告げたスティーヴンスの言葉は現実となり、生活のすべてがホームズ一色になったブレッドは、1986年、そううつ病と診断されました。しかしもはや後戻りはできず、歳月が病状を悪化させます。薬の副作用で増え続ける体重が、シリーズの最初ではスリムだった体形を、迫力の二重顎に変化させました。心の病はさらに重く、ついには自宅近くの公園で、裸足のまま妄想上の誰かと会話する姿が目撃されるようになったのです。このころ、ブレッドは人生のパートナーであった女性に、こんな言葉を漏らしています。「本当に一生懸命、あいつを振り払おうとしているんだけど…どうも最近、ホームズに取り憑かれているようなんだ」。

 
シリーズの最後の方では、ブレッドは脚本を読むことも困難になり、さらにカメラの前にさえ立てなくなりました。そのため、マイクロフト役のチャールズ・グレイが代役を務めた作品もあったそうです。ワトソン役も含めて、このシリーズの俳優たちこそ「シャーロック・ホームズ」の決定版と絶賛されましたが、主役を演じたブレッドはそう思っていなかったようです。「僕にとっては、バジル・ラズボーンこそが誰かさんだ」。最後は、その名前すら口にしなくなったジェレミー・ブレッド。50分のエピソード36話と長編5本を撮影し、シリーズが終了した翌年の1995年、50代の若さで亡くなりました。

 
ひとりの俳優が、文字通り命を削りながら定着させたシャーロック・ホームズのイメージを、今、さらに変化させようとする者が出現しています。その俳優、現代版シャーロック・ホームズの主役を演じるベネディクト・カンバーバッチの言葉を、最後に記します。

「役と俳優の間に神秘的な結びつきがあるとは、僕は思わない。それにあまり拘りすぎると、演技というモノが変な迷信と結びついてしまう」。

「ブレッドの解釈は確かに素晴らしいけど、あれは彼だけの考え方であり続けるだろう。そうでなければ、シャーロック・ホームズではないモノになってしまう。ただ、僕はまだ若いし時間はたっぷりあるし…そのうちにおかしくなったりして…」。

2013年7月4日木曜日

これが写楽の真実


まず、例え話です。画家ではない素人の、ごく普通のサラリーマンAさんが趣味で描いた絵をコンテストに出品します。その極めて斬新な構図が人々を惹き付け、絵には大変な高値がつきました。Aさんは販売元の会社の依頼でさらに数点の絵を描き、それも高値で売れました。しかし、Aさんは絵を仕事にする気はなく、著作権を会社に譲渡、二度と描かなくなります。それでも絵の需要は高まる一方なので、会社は他の画家数人が描いた絵をAさんの作品として販売しました。自分の手持ち資料を読んだ限りでは、これが写楽の真実ではないかと、わたしは考えます。

 
東州斎写楽が何者で実在したのかを語るとき、参考になる史実がふたつあります。彼は僅か10か月で140点という驚異的なスピードで絵を描き、その後姿を消したこと。そして版元が、彼に関して何ひとつ語らなかったことです。写楽が何者かを、実在する人物の名前で最初に示したのは日本人ではありませんでした。それはドイツ人の美術研究家ユリウス・クルトで、1910年に阿波国の能役者・斉藤十郎兵衛だと主張したのです。ただ、阿波藩の資料にその名前はなく、信憑性が薄いとされました。ところが1993年、日本人の歴史研究家により「斉藤十郎兵衛」という能役者の実在が確認されました。上記の例え話でのAさんが、彼だったかもしれないのです。

 
さて浮世絵は、一点を仕上げるまでに大変な労力と長い時間がかかります。つまり、10か月の間に140点を描く事は、ひとりでは物理的に不可能だと考えられるのです。また、写楽の作品とされる浮世絵が、初期のそれと最後の方では構図の斬新さが薄れていくのです。こうした事から、最初の数点は斉藤十郎兵衛が描き、残りは版元が他の絵師に描いてもらい、「写楽」のブランドで売ったと考える研究者もいるのです。

 
はたして、これが真実なのでしょうか。実は2008年、写楽の肉筆と見られる絵画がギリシャの美術館で発見されたそうです。彼の実態が解明されるのか、あるいは新たな謎が生まれるのか…興味は尽きません。

2013年7月2日火曜日

エイリアン存在説の陰謀・後編


UFO関連の記事を書くために資料を調べるとき、いつも感じる疑問があります。「なぜ、アメリカなのか?」。様々な情報のほとんどの発信元が、世界中のたった一国なのは、実に不思議です。イギリスからも情報は出ますが、その規模はアメリカの比ではありませんね。ほかのヨーロッパ諸国や南半球の国々、ましてやアジアの国で、アブダクションとかキャトルミューティレーションの情報を得る事は極めて困難です。「陰謀論」の実態を知るカギは、どうやらこの辺りにあるようです。

 
近年、アメリカ国防省が軍事需要として注文する国内の企業は、約2万2000社あるそうです。さらにその下請け企業は約1万2000社、その会社に融資する数多くの金融機関、商品開発に携わる各種のシンクタンクなど。こうした軍事産業の利益で繋がる集団を、「軍産複合体」といいます。つまり、アメリカ国防省を頂点とする巨大な産業組織で、1960年代の東西冷戦時代に一気に拡大し、現在はアメリカという国の根幹を形成していると言われます。軍の計画やプロジェクトは、軍産複合体に多大な利益をもたらすワケで、外部の者たちに知られ事前に公表される事は、利益の消失に繋がるのです。これを何としても阻止すべく登場させたのが、「陰謀論」なのです。

 
1980年代、「地上円盤観測機構」という研究団体の代表者が、政府のUFO関連の文書を詳しく調べました。その結果、UFOの目撃は軍の基地や実験場の近くが多いこと、また、アメリカでUFO事件が多発するのは、政府が外交で苦労している時期と重なる事実を突き止めました。代表者は、政府や軍が国民の関心をそらす目的でUFO事件を仕組んでいると考え、その出現に歓喜するUFOマニアにこんな言葉を送っています。「何もないところでは、何も起きるはずがない」。こうした、いわば「知識の高い研究家」の動きに対しては、軍もそれなりに反応します。別の団体の代表者が軍の通信を傍受しているのに気付き、意図的に嘘の情報を電波に乗せました。それも、膨大な数の情報を。結果、代表者の言葉はほかの研究家たちに信用されなくなり、酷く落ち込んだ彼は自ら人生の幕を降ろしたそうです。

 
21世紀の現在。世界のあちこちで「UFOを見た」という報告は絶えませんが、陰謀論はすっかり過去のお話になりました。これは、アメリカに匹敵する軍事大国がない事に関係するのかもしれません。しかしロズウェル事件以後、一般の人々がその目と耳で確認した数多くの情報のすべてが、陰謀論による偽物だったとは限りません。ほんの僅かでも、「真実」が存在するかもしれない…UFO研究家たちは、それを探し続けているのです。例えグレイが陰謀論により作り出されたエイリアンであったとしても、別の姿の地球外知的生命体と彼らの宇宙船が、今も地球に実在すると信じる気持ちが、真実の「エイリアン存在説」を証明するかもしれないのです。

2013年7月1日月曜日

エイリアン存在説の陰謀・前編


まずは、「例えば」で語りを始めます。例えば、政府がUFOやエイリアンの情報を持っていたとして、様々な利害関係を理由にひたすら隠そうと決めます。しかし、国民はそれに気付き、情報の公開を強く求めます。こうした場合、政府はどのような策略をとるでしょうか。ひとつは情報の存在を否定し、政府も軍もそんな問題にはまったく関心がないように装います。そして第2の策としては、矛盾する情報や作り話を流し、どれが本当なのか分からなくして真実を隠す事です。

このような策略、つまり、何らかの機関や組織が意図的に情報操作し、UFOやエイリアンの存在を一般の人々から隠している、または、UFO情報自体が何らかの陰謀により作り出されたとする考えを「陰謀論」といいます。

ロズウェル事件以後現在まで、UFO研究家たちが強く主張するこの陰謀論。わたしなりに調べた実態を、2回の投稿に分けて語ります。

 
ロズウェル事件以後、アメリカの政府と軍はUFOやエイリアンの存在を否定してきました。とくに1968年、軍の公式UFO調査機関「プロジェクト・ブルーブック」を解散させた以後は、UFO関連の情報は一切収集していないと言い続けてきたのです。しかし、1974年に情報公開法が成立すると、政府の様々な機関が膨大な関連文書を保管していた事実が明らかになりました。収集を否定する一方で、情報の研究分析をおこなっていたのです。

 
軍がUFO情報を検証する最大の理由は、その存在が防衛上の脅威になるかを確かめるためです。現在までのところ、UFOが民間人を傷つけたり軍の基地を攻撃したりする事実が確認されないため、あくまで「未確認飛行物体」として捕捉するだけと説明しています。しかし、実際に情報を持っていたにも関わらず、それを否定し続けた軍のこうした発表を、UFO研究者たちはまったく信じませんでした。そこで、上記の第2の策略「情報混乱説」が生まれたのです。

 
UFO関連に少しでも興味のある方ならば、1995年に世界を騒がせた「エイリアン解剖フィルム」はご存知でしょう。あれがフェイク・ビデオだった事はすでに解明されていますが、製作に関わった人の中には、政府や軍に関係した者がいた事も解っています。あのビデオは、本物のエイリアンの存在を隠す目的で作られ、世界中に流された「陰謀論」の象徴だったのかもしれません。

 
さて次回は、陰謀論が存在するならば、政府や軍はなぜそうしなければならないのか、どうして真実を隠すのかを語りたいと思います。