2013年2月8日金曜日

都市伝説「海とタコと女性」


アメリカでは、こんな都市伝説が語られています。ロサンゼルスに住む10代後半の女性は、夏休みの間、毎日海岸へ遊びに行っていました。新学期が始まるころ、彼女は体調を崩します。体がだるく、食事もあまり喉を通らず、食べてもすぐに出してしまいます。その様子を見た両親は、夏休み中の、いわゆる「若さの勢い」が招いた事態ではないかと心配しました。しかし女性は、「親に言えない事は絶対していない」と強く否定します。実際、病院で受けた検査でもそれらしき兆候はありませんでした。ただ、月を重ねるごとに女性のお腹が膨れていきます。そこでレントゲン検査してみると、女性の子宮に大きな腫瘍のようなモノが写りました。すぐに、摘出手術です。そこで、医師たちは我が目を疑いました。腫瘍のように見えたのは、かなり大きなタコだったのです。

 

海を漂っていたタコの卵が、女性の体の中に入り成長したというこの都市伝説。日本で語られる「フジツボびっしり」によく似ています。アメリカの「海とタコと女性」は、1934年に誕生し西海岸で広く語られていたお話が、1948年に発刊された本に掲載されたちまち全国に広がりました。ただこのお話は、海で泳いでいた女性の口からタコの卵が入り、腸で成長する内容でしたが、これでは胃液で消化されてしまうと思われたようですね。そこで、「別の部分」から入るお話に派生したようです。

 

それにしても、人間の子宮でタコの赤ちゃんが成長するかなぁ…と考えれば、膝のお皿でフジツボが広がる日本の都市伝説の方が現実味ありますね。いずれにせよ、都市伝説独特の不気味さを味わえるお話ではあります。

2013年2月3日日曜日

「源氏物語」の謎あれこれ


平安時代に書かれた、日本の古典文学の傑作「源氏物語」。日本人に広く知られるこの作品は、現在でも解明されない多くの謎を秘めています。今回はその、「源氏物語」の謎を語ります。

 

この作品が世に出たのは、西暦1000年ごろというのが一般的だそうです。しかし、それも定かではないとか。作者とされる紫式部が記した、いわゆるオリジナル原稿は現存していないからです。現在、わたしたちが目にする源氏物語は、鎌倉時代に複数の人物によってまとめられた写本が原本になっているのです。しかもそれは、オリジナルを正確に書き写した物ではなく、当時、幾つか伝わっていた物語を整理した内容であり、当初の「源氏物語」がどのような内容だったかはほとんど解っていないそうです。

 

さらに謎なのが、作者の紫式部。いつ生まれ、いつ亡くなったのか、その本名、そして実在すらも疑う研究者がいるのです。「源氏物語」の作者に関しては様々な説があり、全54巻のうち、幾つかの巻をそれぞれ別人が書いたとする複数説や、実はほとんどが紫式部の父親の作品で、娘がそれを引き継いだという親子共作説があります。中でもわたしの興味を惹いたのが、歴史作家・藤本泉氏の男性作者説です。つまり、紫式部は男性だったかもしれないという、実に大胆な説なのです。藤本氏はその根拠として、「源氏物語」での描写を挙げています。紫式部には、娘がひとりいたとされています。なので、生後50日の赤ちゃんが笑ったり、7か月で歩くなどの描写は、子供を産み育てた経験のある女性では有り得ないと言うのです。そして、物語に登場する光源氏こそ、作者が自身を投影させたキャラクターであり、その人物は醍醐天皇の子・源高明(みなもとのたかあきら)だと主張しています。高明と光源氏の身上がとてもよく似ている事や、物語に描かれる宮中での行事を、実際に高明は「西宮記(さいきゅうき)」という記録書に残している事などが、この主張の根拠だそうです。

 

「源氏物語」のオリジナルは、どのようなお話だったのか。作者はひとりの女性で実在したのか。この謎は、もはや永遠に解明されないかもしれません。