単なる信号無視が、「軍の威信」と「警察の正義」の正面衝突にまで発展した事件。勢いを増す軍事ファシズムに抵抗した浪花警察の勇気が語り継がれ、そして事件以後、抑えがなくなった軍部の暴走により、日本が極めて危険な道を突き進むキッカケともなった出来事です。
2013年11月13日水曜日
軍事ファシズムに挑んだ警察「ゴーストップ事件」
2013年10月22日火曜日
奇跡の血
1700年以上過ぎた現在でも、液体になる血が存在します。しかもその血は毎年3回、同じ日に「奇跡」を起こすと言うのです。宗教的な奇跡は、信者がそうだと信じていればそれでいいのですが、あまりにも現実からかけ離れているお話は、やはり謎解きしてみたくなるのです。
2013年10月5日土曜日
サンドウィッチを考え出した人は誰?
パンの間に具を挟み、片手で簡単に食べられるこのメニュー。忙しいときの食事に最適だから、考え出した人物も当然、高名なシェフではなく常に忙しい人でした。それは、18世紀のイギリス貴族ジョン・モンタギューです。海軍大臣や国務大臣を歴任した人物ですが、彼は無類のギャンブル好きでもよく知られておりました。夜ごとカジノに繰り出しては、お財布がカラになるまでカード遊びに熱中したそうですよ。
2013年9月20日金曜日
ヒトラーは今も生きている?
「あの人は生き延びていました」というお話は、都市伝説の定番です。良くも悪くも歴史に名前を刻んだ人物から、世界中の人々に愛されたアーティストまで、物語の主人公たちは実に様々です。そうした都市伝説の中でも、ナチスの総統アドルフ・ヒトラーの生存説はとくによく知られていますね。今回は、その都市伝説がさらに進化した、現代社会の中に彼が存在しているというお話を語りましょう。
2013年9月7日土曜日
火星夢物語
科学者や専門家ではない一般の人々が、地球以外の星に知的生命体がいるかもしれないという「夢と希望」を持ち始めたのは、19世紀末、火星観測により地表に運河らしき形跡が発見されてからでした。まさに「火星夢物語」で、最初の登場人物はエレーヌ・スミスという名の女性霊媒師です。
彼女は交霊により見えた火星の風景を描き、火星人と会話したときの火星語も書き残しました。絵には流れる雲やサボテンのような植物、また、家畜を連れて荒野に立つ火星人が描かれています。さすがにこの絵を信用する人はほとんどいませんでしたが、火星語は今でも貴重な資料とされているそうで、驚きます。
2013年8月30日金曜日
正体不明「謎の一本足」
雨上がりの大地に、そして降り積もった新雪の上に、それははっきりと残されていました。人工的ではなく明らかに生き物でも、一本足で歩いたとしか考えられない足跡です。
2013年8月18日日曜日
イギリスの赤いバラはなぜ散った?
1997年8月31日深夜、2台のバイクに追われパリ市内を猛スピードで走るベンツが、セーヌ川に架かるアルマ橋近くのトンネル内で中央分離帯に激突しました。大破したベンツの後部席に乗っていたのはダイアナ元皇太子妃と、婚約者でエジプト系イギリス人の実業家ドディ・アルファイド氏。運転手はふたりが宿泊していたホテルの警備責任者で、助手席にはガードマンが乗っていました。アルファイド氏と運転手はその場で亡くなり、ダイアナ元妃も運び込まれた病院で息を引き取ります。そしてガードマンだけが、一命を取り留めました。
2013年8月8日木曜日
「HAARP」の脅威と暴走
2005年8月、アメリカ南部に大災害を引き起こした大型ハリケーン「カトリーナ」は、人工的に作られた気象兵器だった…。同国テレビ局の天気キャスターの発言が、一時期、アメリカ国内を騒然とさせたそうです。「笑えない冗談だね」だけでは終わらず、政府まで巻き込んだ騒ぎになったのは、それなりの理由があったからです。
しかし、アメリカ軍が実際に電磁波を兵器として使った事はあるようです。2003年のイラク戦争で、軍は強力な電磁波で電子部品をショートさせる「E―BOMB」という兵器を実戦使用しました。その結果、イラク国営テレビの放送が数時間途絶えたと言います。
2013年7月30日火曜日
聖なる杯の物語
それを手にした者には、永遠の命が約束されたり、再生や復活の奇跡が起きるといわれます。その存在や様々な奇跡は聖書に記されておらず、また、キリスト教徒の必須教養でもありません。しかし、2000年以上の長き歳月の中で語り継がれ、数多くの人々が探し求めた「聖杯」。その物語を聖杯伝説と言い、創作されたお話では、「アーサー王と円卓の騎士」がよく知られています。ただ今回は、現実のお話を語ります。それはまさに、最高の都市伝説というべき聖なる杯の物語です。
2013年7月23日火曜日
「ヨハネの黙示録」の予言は本当か?
肌の色、目の色、それに時代や文化の違いを問わず、ヒトは予言に惹かれますね。街角の占い師の言葉でさえ信じてしまうほどですから、それが聖書に書かれた予言となれば尚の事です。新約聖書の「ヨハネの黙示録」には、例えば第8章に「苦よもぎ」という名の燃える大きな星が天から落ちてきて、地上の水が消え多くの人が亡くなると記されています。この「苦よもぎ」がロシア語ではチェルノブイリになるそうで、あの大事故を予言したと言われます。また、世界の終末には10本の角と7つの頭を持つ巨大な生き物が海から出現し、人類を滅亡させると記され、これが核兵器による最終戦争、いわゆる「ハルマゲドン」なのだそうです。都市伝説的には興味深いお話ですが、聖書を研究している学識者たちの見解によれば、ヨハネの黙示録に記された予言は現代の事ではありません。
2013年7月18日木曜日
ミロのヴィーナスの腕のお話
「古代から現代に贈られた最高の美」と言われるミロのヴィーナス。ヘレニズム時代の最高傑作でもあるこの像が世に出たのは、1820年の事でした。エーゲ海南西部のミロス島で、ヨルゴスという名の男性が畑を整地している最中、岩を削った空間を見つけ、覆っていた土をさらに掘ると大理石の女性像が現れました。ヨルゴスから購入の話を受けたフランス領事館が本国に知らせ、二ヶ月後、ミロス島を訪れた専門家は、ひと目で超一級品と見抜き、買い取ってフランスに持ち帰ったのです。
この像が人々を惹き付ける魅力のひとつに、「古代の黄金比」が多用されている事があります。黄金比とは、古代エジプトで発見された、縦と横の比率が1対1・6180…の割合です。最も均整がとれた美しい長方形で、ギザのピラミッド壁面の三角形の高さと底辺の幅、パルテノン神殿を正面から見たときの支柱の高さと建物の横幅などが、この黄金比になっているそうです。ミロのヴィーナスでも、体型や顔形にこの黄金比が使われており、それを守るため意図的に腕をつけなかったというのです。
ちなみに、ミロのヴィーナスが海外で展示されたのは、現在までにたった一度だけです。それが日本である事実には、日本人としてはちょっと嬉しく感じてしまいます。
2013年7月12日金曜日
かなり怪しい「チャネリング」
「俺の悩みを聞いてくれるのは嬉しいけど、宇宙の偉大な生命体のメッセージが個人的な人生相談なんて…ちょっと変だよなぁ」。友人の言葉は、チャネリングの怪しさを見事に指摘しておりました。
現代科学を超越するテクノロジーや、今も解明できない歴史の謎の明確な答えが示されたとき初めて、チャネラーの力が立証されるのではないでしょうか。
2013年7月7日日曜日
シャーロック・ホームズに取り憑かれた俳優
映画が庶民の唯一の娯楽だった時代から、その銀幕を彩り続けた「シャーロック・ホームズ」は、イギリスを代表するエンターテイメントのひとつです。中でも1939年から7年間、14本が制作された映画でホームズを演じたバジル・ラズボーンは、ワトソンを演じたナイジェル・ブルースと共にこのエンターテイメントのキャラクターのイメージを定番化させました。そして、長らく続いた定番を変えた人物が、1980年代、グラナダTVのシリーズで主役を演じたジェレミー・ブレッドです。繊細で何事にも妥協しない性格、さらに役者としての完璧さを常に求めていた彼は、原作のホームズを最も忠実に演じきると期待されての抜擢でした。
「役と俳優の間に神秘的な結びつきがあるとは、僕は思わない。それにあまり拘りすぎると、演技というモノが変な迷信と結びついてしまう」。
「ブレッドの解釈は確かに素晴らしいけど、あれは彼だけの考え方であり続けるだろう。そうでなければ、シャーロック・ホームズではないモノになってしまう。ただ、僕はまだ若いし時間はたっぷりあるし…そのうちにおかしくなったりして…」。
2013年7月4日木曜日
これが写楽の真実
まず、例え話です。画家ではない素人の、ごく普通のサラリーマンAさんが趣味で描いた絵をコンテストに出品します。その極めて斬新な構図が人々を惹き付け、絵には大変な高値がつきました。Aさんは販売元の会社の依頼でさらに数点の絵を描き、それも高値で売れました。しかし、Aさんは絵を仕事にする気はなく、著作権を会社に譲渡、二度と描かなくなります。それでも絵の需要は高まる一方なので、会社は他の画家数人が描いた絵をAさんの作品として販売しました。自分の手持ち資料を読んだ限りでは、これが写楽の真実ではないかと、わたしは考えます。
2013年7月2日火曜日
エイリアン存在説の陰謀・後編
UFO関連の記事を書くために資料を調べるとき、いつも感じる疑問があります。「なぜ、アメリカなのか?」。様々な情報のほとんどの発信元が、世界中のたった一国なのは、実に不思議です。イギリスからも情報は出ますが、その規模はアメリカの比ではありませんね。ほかのヨーロッパ諸国や南半球の国々、ましてやアジアの国で、アブダクションとかキャトルミューティレーションの情報を得る事は極めて困難です。「陰謀論」の実態を知るカギは、どうやらこの辺りにあるようです。
2013年7月1日月曜日
エイリアン存在説の陰謀・前編
まずは、「例えば」で語りを始めます。例えば、政府がUFOやエイリアンの情報を持っていたとして、様々な利害関係を理由にひたすら隠そうと決めます。しかし、国民はそれに気付き、情報の公開を強く求めます。こうした場合、政府はどのような策略をとるでしょうか。ひとつは情報の存在を否定し、政府も軍もそんな問題にはまったく関心がないように装います。そして第2の策としては、矛盾する情報や作り話を流し、どれが本当なのか分からなくして真実を隠す事です。
このような策略、つまり、何らかの機関や組織が意図的に情報操作し、UFOやエイリアンの存在を一般の人々から隠している、または、UFO情報自体が何らかの陰謀により作り出されたとする考えを「陰謀論」といいます。
ロズウェル事件以後現在まで、UFO研究家たちが強く主張するこの陰謀論。わたしなりに調べた実態を、2回の投稿に分けて語ります。
2013年6月25日火曜日
黄金の国・ジパング伝説
「東の地には、ジパングという名の黄金の国がある」。このお話をヨーロッパに広げたのは、13世紀、イタリアの旅行家マルコ・ポーロがアジア諸国の旅で見たり聞いたりした事を、のちの幽閉生活で、同じ囚人の作家に口述記録してもらった旅行記「東方見聞録」です。ここに記されたジパングが日本である事は、長い間、当然の事実として考えられていました。しかし近年、東方見聞録が詳細に検証されるようになると、「ジパングは日本ではなかった」という説が浮上してきたのです。
2013年6月21日金曜日
空想の伝説・惑星クラリオン
1952年7月のある夜、車の修理工トルーマン・ベラサムは、ネバタ州内の国道を走っていました。すると突然、上空から眩しい光線が射し、円盤型のUFOが出現。そこから降りて来た女性の異星人(?)は、ベラサムにこう伝えました。自分はクラリオンという惑星から来た。惑星クラリオンは月の向こう側にあり、地球と月とクラリオンは一直線上にあるので、地球からは見えない…と。ベラサムはその後、女性異星人と何度も会い、彼女の語りを「空飛ぶ円盤の秘密」という本にしました。これが、UFO史上で「惑星クラリオン」が最初に登場したときのお話です。
2013年6月14日金曜日
宇宙人ユミットの笑える手紙
1960年代の初頭から、地球に潜入しているウンモ星人ユミットの手紙が、何人かのスペイン人に届くようになりました。手紙には、地球の科学をはるかに超える驚異的な理論が多数記されており、その通信は現在も続いているそうです。地球の科学を超えるならば、なぜ手紙なの? と、冒頭から言ってしまいますが、このお話は謎解き云々ではありません。「驚異的な科学理論」とは、高校生以上の科学の知識を持つ人ならば「笑える冗談」としか思えない始末なのです。例えば、超電導の機械の材質が「純度100パーセントのチタン」だそうですが、チタンは超電導に最も適さない物質なのです。また、人間のDNAにはクリプトン原子が含まれると記されていても、原子物理学的にクリプトンがDNAに含まれる事はなく、実際、検出もされていません。
手紙には、ウンモ語なるモノが多数書かれているそうです。例を挙げると、「われわれはウンモ星から来て、宇宙船は南フランスに着いた」をウンモ語にすれば、「DO UMMO DO DO UMMO UMMO DO DO DO」になると言います。これ、けっこう笑えると思いませんか? 何をどう翻訳すれば、どの「DO」が宇宙船でどの「DO」が南フランスになるのでしょう? ただ驚くべきは、この冗談みたいな手紙の記述をもとに、フランスの国立科学研究所の理学博士が著書を出している事実です。しかも彼は、パリ科学アカデミーで論文も発表しているのです。手元の資料によれば、前者の著書は「素人さん向け」、後者の論文は学界がすでに確認している事の繰り返しだそうです。
ウンモ星人ユミットなど、もちろん存在しません。その正体は何人かのスペイン人で、とくにホセ・ルイス・ペナという男性が、熱心に手紙を書き続けているそうですよ。正体どころか名前も知られているのに、まだ続ける…これもまた、笑えますね。
2013年6月10日月曜日
戦慄の吸血鬼伝説
最近のハリウッド映画で、派手なアクションを披露している一族は別にして、現代人が思い浮かべる吸血鬼のイメージは万国共通ですね。人間を襲い血を吸い尽くす。鏡に映らず、日光やニンニク、十字架、聖水を嫌い、その容姿は美しく不老不死。そして身分は高く、ほとんどが貴族階級の紳士とレディです。これはジョン・ポリドリの「吸血鬼」、シェリダン・レ・ファニュの「吸血鬼カーミラ」といった、18世紀から西ヨーロッパで創作された文学や芝居などのエンターテイメントが生み出したイメージです。そのイメージを世界的に広げ、現代でも定番となるほど定着させた作品が、ブラム・ストーカーの「ドラキュラ伯爵」でした。
2013年6月9日日曜日
アメリカン・モンスター「ウサギと猫」
アメリカには、モンスターがお好きな人々が多いようです。そんなお国柄が生み出した怖い怪物をふたつ、今回は紹介します。
まずは、バージニア州フェアファッスのクリフトン周辺に出没するといわれる「バニー・マン」です。ハロウィンの時期に現れるモンスターで、その誕生は100年ほど前のある事件でした。クリフトンには異常犯罪者を収容する刑務所がありましたが、1904年の秋、閉鎖されることになりました。そこで、同じ州内にあるロートン刑務所に囚人たちを移します。しかし、彼らの護送中にバスが事故を起こし、その騒ぎに紛れて何人かの囚人が脱走しました。警察の強力な捜査網をかいくぐり逃げ延びたのが、ダグラス・J・グリフォンでした。彼の逃走後、この地域では木の枝にぶら下がるウサギの死骸があちこちで発見されます。地元の住民は恐怖に震えましたが、警察はグリフォンが州外に逃げたと判断。捜索を打ち切ります。人々は安心し、逃走犯の噂も消えかけた翌年、恐るべき事件が発生しました。この地域のトンネル内で、3人の子供の命が奪われたのです。しかも、トンネルの天井からぶら下がった姿は、あのウサギそのものだったといいます。以後、ハロウィンの時期になると「バニー・マンに襲われた」という報告が相次ぎ、トンネルには「バニーマン・ブリッジ」なる別名がついたのです。現在では、この場所で「バニー・マン」と3回言えればモンスターが現れるなんてお話にまで派生しております。
さて次のモンスターは、ノースカロライナ州の小さな町ブラデンボロの住民を、恐怖のどん底に落した「ヴァンパイア・キャット」です。事の始まりは1954年1月。この町のある家で飼われていた3匹の犬が、頭を噛み砕かれた姿で発見された事件です。以後立て続けに、この地域一帯のペットや家畜が全身を鋭い牙で噛まれ殺される事件が起きます。しかもそのほとんどは、血を全部吸い取られていたというのです。住民の恐怖はハンパではなく、女性や子供は昼夜を問わず外出せず、男性も銃を身につけなければ外に出られませんでした。多くの人の目撃証言により、事件の「犯人像」が明らかになります。体長1・5メートル、尾は1メートルほどの巨大な生物で、その動きや鳴き声は猫そのものでした。また発見された足跡から推測される体重は、なんと70キロ以上という、ライオンやトラも超える大きさで、「ヴァンパイア・キャット」と呼ばれるようになります。当局は、かなり大きな山猫と断定。実際、全米から集まったハンターたちの手で、巨大な山猫が捕獲されました。以後、ペットや家畜の被害はなくなりましたが、はたして、本当にそれがヴァンパイア・キャットだったのでしょうか。ブラデンボロでは、今もこの恐怖のモンスター伝説が語り継がれているそうです。
2013年6月8日土曜日
平家落人伝説の真実
1185年3月24日、「源平合戦」の最後の舞台・壇ノ浦の戦いに敗れた平家。その残党は落武者となって全国に散り、日本各地の山間部に隠れ住んで子孫を残しました。これが、世に語られる「平家落人伝説」です。この伝説は、北は三陸地方から南は奄美大島に至るまで約150か所の山間の集落にあり、とくに壇ノ浦に近い九州や四国、中国地方に多く語られます。壇ノ浦での平家の兵力は、船500隻とも1000隻ともいわれた大軍だったので、実際に逃げ延びた武士が中にはいた可能性はあります。しかし、彼らは源氏の追撃を逃れるため、その身分や素性を徹底的に隠したはずであり、史実として裏付けされる落人伝説はほとんどないといわれます。
2013年6月6日木曜日
平安サクセス・ストーリー「わらしべ長者」
転んだとき偶然手にした一本のワラが、最後には大きなお屋敷になります。そのダイナミックな展開と、ひとりの貧しい男性が幸福への階段を登って行くサクセス・ストーリーが語られる「わらしべ長者」。原型は「今昔物語」に記されており、「貧しくても、心が優しく豊かならば幸せになれる」という説話です。しかしその内容は、当時の経済状況や主人公の稀に見る「投機的才能」が読み取れる、実に奥深い物語なのです。
まずは、物語を簡単に紹介します。長谷寺に寝泊まりしていたひとりの男性は、ある夜、夢に現れた僧侶にこう告げられます。「寺を出るとき最初に手に触れた物を、大切に持って行きなさい」。翌朝、お寺の階段でつまづき転んで、地面に落ちていた一本のワラが手に触れました。男性はお告げを守り、ワラを持って旅に出ます。旅の途中で様々な人に出会い、ワラがみかんに、みかんが布に、そして布が馬にと変わっていき、最後は大きな屋敷の主に馬を譲ります。その馬で旅に出た主が戻らなかったため、男性は屋敷で幸せに暮らしたのです。
「今昔物語」は平安末期の書です。この時代の日本は、まだ貨幣価値が広く浸透しておらず、経済は物と物を交換するという価値観で成り立っていました。「わらしべ長者」の主人公は、夢のお告げの大切なワラを欲しいと言われて譲ったり、喉の渇きに苦しむ女性にみかんを差し出したりと、その優しさが随所に表れています。しかし、物語を詳しく読み解けば、お告げがあるまで観音堂に居座り続ける根性や、布と馬の交換のときも、三反の布のうち二反は手元に残すという「計算高さ」がありました。また馬も、それを受け取ってもらえそうな資金力のある人物に狙いを定めて交渉します。彼は平安時代の交換経済において、とても優秀な投機の才能を持っていたワケです。
わらしべ長者は、長谷寺の観音菩薩のご利益と、主人公の才覚で実現した平安サクセス・ストーリーと言えるでしょう。
2013年6月1日土曜日
エル・ドラドの黄金伝説
中世の大航海時代、海の彼方を目指した探検家たちの話として、黄金の都の伝説がヨーロッパに広がりました。その呼び名「エル・ドラド」とは、元はアンデス山脈北側の高地に住むムイスカ族の首長の事です。「金粉を塗る人」という意味のスペイン語であり、新しい首長が、就任の儀式で全身に金粉を塗り、聖なる湖に飛び込んで金粉を洗い流した事に由来します。その際、部族の人々はエメラルドや金の装飾品を湖に投げ込み、首長の就任を祝いました。これがやがて、「インカ帝国の北側に黄金の地がある」という伝説に変わったのです。
ムイスカ族が住んでいた場所は、現在のコロンビアの首都ボゴタ周辺と言われています。ただ16世紀ではそれさえはっきり判っておらず、古い地図にはエル・ドラドがあちこちに記されていたそうです。その不確定な地図を頼りに、数多くの探検家たちが黄金の都を目指しましたが、結果は酷いものでした。例えばドイツの総督ゲオルグ・ホエルムートは、1535年に400人の遠征隊を率いてエル・ドラドに向かいました。伝説の湖とされるグアタビータ湖の近くまで行きましたが、そのときの隊員は100人余り。気力も体力も、そして資金も底をついて国に引き返したそうです。その翌年に挑戦した同じくドイツ人の探検家ニコラス・フェーダーマンはさらに酷く、約1000人の遠征隊がムイスカ族の村に到着したときは90人にまで減っていました。現地の激しい気候や自然、マラリアなどの伝染病が、彼らの行く手を遮ったのです。
結局、ヨーロッパ人には発見できず、伝説だけが語り継がれた「エル・ドラド」。ムイスカ族は、本当に黄金の民だったのでしょうか。ボゴタ周辺に鉱山はありますが、金鉱は存在しない事が現在では解っています。ただ、ホエルムートやフェーダーマンがムイスカの村で大量の金の装飾品を見たのは事実です。これは、ムイスカ族の人々が交易で入手した金を細工して作った物でした。また1545年、エルナン・ペレスという人物が、グアタビータ湖の水をバケツで汲み上げるという人海戦術を展開し、3ヶ月かけて水位を下げ、湖に沈む数百個の金製品を回収しました。その40年後にも、スペインの商人が排水用のトンネルを掘り、金製品やエメラルドをたくさん回収したそうです。ただ、土砂崩れで計画は中断。20世紀になり、イギリスの企業がトンネル方式で再挑戦するも、やはり激しい土砂崩れと湖底の泥の硬さで断念しました。
黄金の都ではありませんが、アンデス山脈北側の小さな湖に、大量の黄金が眠っているのは事実です。ただしそこは、女神が宿る聖なる場所であり、その湖底に沈む物も、儀式で捧げられた聖なる品物です。お金に換算する価値観しかない人にとっては、まさに「永遠の伝説」であり続けるでしょう。
2013年5月31日金曜日
いのちと宇宙の物語
現在、約500万種類が存在すると言われる、地球の多種多様な生き物たち。そのすべての始まり、「最初のいのち」は、どこでどのように誕生したのでしょう。それは偶然の奇跡なのか。あるいは、意図的な計画だったのか。いずれにしても、気が遠くなるほど壮大な物語です。今回のお話は、心の視野をいつもより少し広げて読んで頂ければ、それなりに楽しいのでは…と思います。
現在確認されている世界最古の生物化石は、約35億年前の物です。そのため、地球に最初の「いのち」が誕生したのは、およそ40億年前と考えられているそうです。太陽から3番目の位置に、地球という名の惑星が生まれたのが45億年前。その原始の地球の大気に含まれていた水や二酸化炭素などが、紫外線、カミナリ、宇宙線といったエネルギーを受けて化学反応し、アミノ酸や核酸が合成されました。地球誕生から5億年の間に、この合成物が海に溶け込みタンパク質となり、「いのち」の元が生まれます。それが、姿ある生物に進化していったというのが、最も有力な説です。
しかし最近、世界最速のコンピュータでシミュレーションしたところ、数億年で生命が誕生するのは不可能という答えが出ました。そこで浮上したのが、地球の生命の源は宇宙から来たという説です。1986年におこなわれたハレー彗星の調査では、彗星の核から大量の有機物が発見されています。また、アミノ酸が発見された隕石もあります。さらに2001年、オーストラリアで回収された「マーチン隕石」からは糖やアルコール化合物が検出されたのです。アミノ酸はもちろん、とくに糖の発見は「いのちの宇宙飛来説」をかなり現実的な説にしました。
都市伝説っぽいお話では、地球の生命は異星人によって作られたという説もあります。はるか昔、高度な文明を持つ異星人が遺伝子情報を入れた膨大な数のカプセルを宇宙空間に放出し、そのひとつが地球に辿りついたと言うのです。つまり、原始の生命が生まれて進化し、人類が誕生して現在に至るまでは、異星人の「プロジェクト」なのだそうですよ。凄いお話ですが、これを大真面目に(?)提唱する人もいるのです。
「最初のいのち」は、地球の大気の化学反応で生まれたのか。それとも宇宙から飛来した糖やアミノ酸なのか。わたしたちがこの惑星で営むいのちの物語の幕開けは、現在も科学がその解明への挑戦を続けています。
2013年5月18日土曜日
王妃マリー・アントワネット最期の一日
「もう何も見えず、歩くことができません」。1793年10月16日午前3時ごろ、革命裁判所で判決を受けたフランス国王妃が、裁判所の出口でよろめき呟いた言葉です。牢獄に戻された彼女は、夫ルイ16世の妹エリザベト宛に遺言書を書きました。「犯罪者にとって死刑は恥ずべきことです。しかし、無実の罪で断頭台に送られるわたしには、恥ずべきことは何ひとつありません。子供たちには、母の無念をはらそうなどと決して思わぬよう、そして愛しているとお伝えください。さようなら」。
運命の朝、食事係が朝食のメニューの希望を尋ねますが、アントワネットは「何もいりません。すべて終わりました」と小声で答えたのです。午前10時少し過ぎ、死刑執行人が牢獄を訪れ、彼女自慢の艶やかなロングヘアを短く切りました。それでもアントワネットは、涙のカケラも見せず背筋を伸ばして立っていたといいます。革命広場の刑場に向かう荷馬車に乗った彼女が纏うのは、真っ白いドレスと真っ白い帽子。自分の身の潔白を、最後の瞬間まで主張する強く気高い意思の表れでした。広場に到着すると、アントワネットは自ら荷馬車を降りて処刑台の階段を上ります。そして12時15分、「共和国万歳!」と叫ぶ数万人の民衆の声に包まれ、彼女の人生の幕が降りました。
フランス国内で革命の火の手が上がり始めたころ、「ひとカケラのパンを!」と声を上げる民衆を見たアントワネットが、「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」と言った逸話があります。これは、完全な作り話だったと現在では考えられています。当時の国の財政破綻は、戦費の拡大やアメリカへの多額の投資の焦げ付き、農業だけに頼っていた財源など様々な要因が重なって起きた事態でした。しかし、王政の打倒を目論む革命家たちは、そんな複雑な説明では民衆に理解できないと考えたのです。だから、民衆の負の感情をひとつに集中させることで、大きな波を起こそうとしました。その「的」が、フランス国王妃だったのです。
ヨーロッパ随一の名門オーストリア王家に生まれ、最後の瞬間まで誇りとプライドを貫いたひとりの女性。その想いと母の愛を綴った遺言書が、娘のマリー・テレーズの手に渡ったのは、処刑から23年後の1816年でした。
2013年4月6日土曜日
王道都市伝説「ピアス穴の白い糸」
このお話を聞いた覚えのある方は、多いのではないでしょうか。「口裂け女」と並び、その時代の一世を風靡した都市伝説です。
ピアスの穴を開けたいけど、お医者さんへ行く時間も費用も節約しようと考えた女性が、自分で耳たぶに安全ピンを刺します。しばらくして、その開けた穴から白い糸のようなモノが出てきて、それは引っ張ってもなかなか切れません。別に痛みもなかったので、さらに力をこめて引っ張ると突然切れ、同時に目の前が真っ暗になり、彼女は視力を失いました。
白い糸のようなモノは、視神経だったというオチなのですが、実際には耳たぶに視神経は通っていません。ピアスの穴と金属の間に溜まったシャンプーが固まったモノとか、耳たぶの脂肪分などが時間の経過で白い糸のようになり出ている事があるそうです。それでも、ピアスという身近なアイテムと、自分で自分の耳に穴をあける行為が招いた怖い結末が、完成度の高い都市伝説を生みだしました。派生バージョンでは、糸が切れる瞬間に眼球が一回転したなんてお話もあります。また、街中ですれ違う人に「ピアスしている?」と聞く女性がいて、「している」と答えると彼女はその人の耳たぶに噛みつくそうですよ。これが、糸を引っ張ったあげくに視力を失った女性だという都市伝説です。
「ピアス穴の白い糸」が広く語られたのは、1980年代です。美しくなるための美容整形が、まだ理解されていない時代背景があったのでしょうか。ご年配の方々に、「親からもらった体に…」などと言われ生まれた少し後ろめたい気持ちが、このお話を単なるウワサに終わらせなかったのでしょう。都市伝説の多くは、その本場アメリカから日本へ渡って来ますが、「ピアス穴の白い糸」は日本からアメリカへ伝わった数少ないお話のひとつなのです。
2013年2月8日金曜日
都市伝説「海とタコと女性」
アメリカでは、こんな都市伝説が語られています。ロサンゼルスに住む10代後半の女性は、夏休みの間、毎日海岸へ遊びに行っていました。新学期が始まるころ、彼女は体調を崩します。体がだるく、食事もあまり喉を通らず、食べてもすぐに出してしまいます。その様子を見た両親は、夏休み中の、いわゆる「若さの勢い」が招いた事態ではないかと心配しました。しかし女性は、「親に言えない事は絶対していない」と強く否定します。実際、病院で受けた検査でもそれらしき兆候はありませんでした。ただ、月を重ねるごとに女性のお腹が膨れていきます。そこでレントゲン検査してみると、女性の子宮に大きな腫瘍のようなモノが写りました。すぐに、摘出手術です。そこで、医師たちは我が目を疑いました。腫瘍のように見えたのは、かなり大きなタコだったのです。
海を漂っていたタコの卵が、女性の体の中に入り成長したというこの都市伝説。日本で語られる「フジツボびっしり」によく似ています。アメリカの「海とタコと女性」は、1934年に誕生し西海岸で広く語られていたお話が、1948年に発刊された本に掲載されたちまち全国に広がりました。ただこのお話は、海で泳いでいた女性の口からタコの卵が入り、腸で成長する内容でしたが、これでは胃液で消化されてしまうと思われたようですね。そこで、「別の部分」から入るお話に派生したようです。
それにしても、人間の子宮でタコの赤ちゃんが成長するかなぁ…と考えれば、膝のお皿でフジツボが広がる日本の都市伝説の方が現実味ありますね。いずれにせよ、都市伝説独特の不気味さを味わえるお話ではあります。
2013年2月3日日曜日
「源氏物語」の謎あれこれ
平安時代に書かれた、日本の古典文学の傑作「源氏物語」。日本人に広く知られるこの作品は、現在でも解明されない多くの謎を秘めています。今回はその、「源氏物語」の謎を語ります。
この作品が世に出たのは、西暦1000年ごろというのが一般的だそうです。しかし、それも定かではないとか。作者とされる紫式部が記した、いわゆるオリジナル原稿は現存していないからです。現在、わたしたちが目にする源氏物語は、鎌倉時代に複数の人物によってまとめられた写本が原本になっているのです。しかもそれは、オリジナルを正確に書き写した物ではなく、当時、幾つか伝わっていた物語を整理した内容であり、当初の「源氏物語」がどのような内容だったかはほとんど解っていないそうです。
さらに謎なのが、作者の紫式部。いつ生まれ、いつ亡くなったのか、その本名、そして実在すらも疑う研究者がいるのです。「源氏物語」の作者に関しては様々な説があり、全54巻のうち、幾つかの巻をそれぞれ別人が書いたとする複数説や、実はほとんどが紫式部の父親の作品で、娘がそれを引き継いだという親子共作説があります。中でもわたしの興味を惹いたのが、歴史作家・藤本泉氏の男性作者説です。つまり、紫式部は男性だったかもしれないという、実に大胆な説なのです。藤本氏はその根拠として、「源氏物語」での描写を挙げています。紫式部には、娘がひとりいたとされています。なので、生後50日の赤ちゃんが笑ったり、7か月で歩くなどの描写は、子供を産み育てた経験のある女性では有り得ないと言うのです。そして、物語に登場する光源氏こそ、作者が自身を投影させたキャラクターであり、その人物は醍醐天皇の子・源高明(みなもとのたかあきら)だと主張しています。高明と光源氏の身上がとてもよく似ている事や、物語に描かれる宮中での行事を、実際に高明は「西宮記(さいきゅうき)」という記録書に残している事などが、この主張の根拠だそうです。
「源氏物語」のオリジナルは、どのようなお話だったのか。作者はひとりの女性で実在したのか。この謎は、もはや永遠に解明されないかもしれません。
2013年1月28日月曜日
霊の顔が現れた場所は…?
周りの環境や、交通の利便性などの条件がとてもいいのに、家賃が異常に安いアパート。こうした物件は、ほとんどの人が「何かある」と思いますね。そして、「きっと出るんだ」なんて考えます。夜中に女性の泣き声が聞こえたり、壁に幽霊の姿が浮き上がったり…。怖いお話ではあっても、めずらしくはありません。ただ、今回語るお話は、少し変わったケースかもしれませんよ。
ある都市伝説の本の著者が、友人の体験談として記したお話です。著者N氏の友人でデザイナーのS氏は、幽霊とか超常現象をまったく信じない男性でした。条件は最高でも家賃がとても安いアパートの一室を、「仕事場に近い」という理由だけで借りました。「やめた方がいい」と言うN氏の言葉にも、「俺はそういうの信じないから」と笑っていたそうです。
その部屋で暮らし始めてまもなく、S氏は金属アレルギーになりました。それまで、そんな事は一度もなかったのに、腕時計の金属ベルトの部分が異様に痒くなったのです。痒みに耐えられず掻き壊してしまい、やがて手首の掻き傷がかさふたに変わりました。その赤黒いかさふたが、なんと女性の顔のようだったと言うのです。目鼻や口ははっきりと、しかも目の部分から滲み出る血はまさに涙。薬を塗っても、すぐにまたこの形が浮き出るというS氏の話に、N氏は寒気がしたそうです。
数日後、S氏はついに「伝説」を体験します。突然、女性のすすり泣きが聞こえ、部屋の壁に彼女の姿が現れたのです。翌朝、近所のおばさんから「あの部屋では、女性がふたりも亡くなったのよ」と聞かされ、さすがに怖くなって引っ越しました。壁より先に、住人の手首に現れた女性の霊。おばさんの情報によれば、亡くなったひとりはその部分を切ったそうで、本当に怖いお話でした。
2013年1月25日金曜日
かなり怖いぞ「マイアミ・ゾンビ」
今回のお話は、料理に例えるならば相当濃い味付けです。激辛とは申しませんが、決して優しい味付けではないので、ご了解のほどを…。
2012年5月26日、アメリカ・フロリダ州マイアミのある公園内で、ひと休みしていた68歳の男性ロバート・ポッポ氏は、突然、まったく面識のない31歳の男性R・Uに噛みつかれました。R・Uはポッポ氏の顔を噛み続け、駆け付けた警察官がやむなく発砲します。なんと12発の弾を受け、その間18分、そしてようやく事切れたのです。幸いにもポッポ氏は一命を取り留めましたが、顔面は原型を留めず、資料に写真があってもとても掲載できるモノではありません。恐るべきは、このR・Uのような事件がさらに続いた事です。
5月29日、コロラド州で21歳の大学生が逮捕されたときは、命を奪った友人の体の一部を食べていました。また6月2日には、マイアミで20歳の男性が、「食べてやる」と大声を上げ警察官に噛みつきました。12日のニューヨーク州では、極めて温厚で優しい35歳の女性が、突然、近所の人々に襲い掛かっています。愛犬に噛みつき、吠えながらその体を食べたのはテキサス州の中年男性。6月14日に起きた事件で、彼もまた温厚な人物でした。7月2日にジョージア州のゴルフ場で発生したのは、若い男性が「みんな、食べてやる」と言いながらゴルフクラブを振り回し、人々を追いかけた事件です。このとき、警察官は暴れる男性を抑えるため、高圧電流を放つ道具を使いましたが、普通の人間ならば一回で気を失うはずが、なんと、7回使ってようやく取り押さえたそうです。
これらの事件の共通点は、いずれも突発的に人や動物に襲い掛かり、噛みついたり実際に食べたりすること。そして銃弾や高圧電流を受けても、感覚がマヒしているかのように恐ろしい行動を続けたことです。まさにゾンビそのもので、事件の主役たちは、最初の場所から名前を取った「マイアミ・ゾンビ」と呼ばれるようになりました。マスコミは、事件の原因を「バス・ソルト」と言う脱法ドラッグではないかと指摘しました。ところが、警察が発表したゾンビたちの血液検査の結果は、驚くべきモノでした。全員から、大麻の成分が検出されたと言うのです。
大麻は、紀元前から世界中で使われてきたクスリです。幸せ気分になり、食欲が増進され、ときには精神疾患も発生しますが、決して「マイアミ・ゾンビ」は生み出しません。「アルコールやタバコより有害ではない」と言う説さえあり、合法化している国もあるのです。そこで、都市伝説が誕生しました。マイアミ・ゾンビの原因は、アトランタにあるアメリカ疾病予防センターが作り上げた細菌兵器ではないか…と。
実はゾンビ事件が続いていた間、マイアミでは軍の危険物取扱いチームが出動する不可思議な事件が10件起きていました。さらにゾンビ事件発生の1か月前、疾病予防センターが関連組織に対し「ゾンビに対する備えをしてください」という通達を出していたとか。これらが、都市伝説誕生の要因になったのです。
およそ2ヶ月、アメリカ市民を震え上がらせた「マイアミ・ゾンビ事件」。その後は発生していないようですが、警察の捜査も大して進展しておらず、事件の真相は謎のままだそうです。つまり、いつ再発してもおかしくない状態であり、これは実に恐ろしいですね。
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