2013年4月6日土曜日

王道都市伝説「ピアス穴の白い糸」


このお話を聞いた覚えのある方は、多いのではないでしょうか。「口裂け女」と並び、その時代の一世を風靡した都市伝説です。

ピアスの穴を開けたいけど、お医者さんへ行く時間も費用も節約しようと考えた女性が、自分で耳たぶに安全ピンを刺します。しばらくして、その開けた穴から白い糸のようなモノが出てきて、それは引っ張ってもなかなか切れません。別に痛みもなかったので、さらに力をこめて引っ張ると突然切れ、同時に目の前が真っ暗になり、彼女は視力を失いました。

 

白い糸のようなモノは、視神経だったというオチなのですが、実際には耳たぶに視神経は通っていません。ピアスの穴と金属の間に溜まったシャンプーが固まったモノとか、耳たぶの脂肪分などが時間の経過で白い糸のようになり出ている事があるそうです。それでも、ピアスという身近なアイテムと、自分で自分の耳に穴をあける行為が招いた怖い結末が、完成度の高い都市伝説を生みだしました。派生バージョンでは、糸が切れる瞬間に眼球が一回転したなんてお話もあります。また、街中ですれ違う人に「ピアスしている?」と聞く女性がいて、「している」と答えると彼女はその人の耳たぶに噛みつくそうですよ。これが、糸を引っ張ったあげくに視力を失った女性だという都市伝説です。

 

「ピアス穴の白い糸」が広く語られたのは、1980年代です。美しくなるための美容整形が、まだ理解されていない時代背景があったのでしょうか。ご年配の方々に、「親からもらった体に…」などと言われ生まれた少し後ろめたい気持ちが、このお話を単なるウワサに終わらせなかったのでしょう。都市伝説の多くは、その本場アメリカから日本へ渡って来ますが、「ピアス穴の白い糸」は日本からアメリカへ伝わった数少ないお話のひとつなのです。