2013年7月18日木曜日

ミロのヴィーナスの腕のお話


「古代から現代に贈られた最高の美」と言われるミロのヴィーナス。ヘレニズム時代の最高傑作でもあるこの像が世に出たのは、1820年の事でした。エーゲ海南西部のミロス島で、ヨルゴスという名の男性が畑を整地している最中、岩を削った空間を見つけ、覆っていた土をさらに掘ると大理石の女性像が現れました。ヨルゴスから購入の話を受けたフランス領事館が本国に知らせ、二ヶ月後、ミロス島を訪れた専門家は、ひと目で超一級品と見抜き、買い取ってフランスに持ち帰ったのです。

 
ミロのヴィーナスの最大の謎として、数多くの研究者たちの興味を惹いたのが、発見当時から失われていた両腕です。はたして、どのような造形だったのか。少し前のめりで、左足を前に出す全体の姿を参考にして、著名な学者たちが様々な説を提唱しました。そんな中で近年になり浮上したのが、製作当初から両腕はなかったのではないか…という説です。

この像が人々を惹き付ける魅力のひとつに、「古代の黄金比」が多用されている事があります。黄金比とは、古代エジプトで発見された、縦と横の比率が1対1・6180…の割合です。最も均整がとれた美しい長方形で、ギザのピラミッド壁面の三角形の高さと底辺の幅、パルテノン神殿を正面から見たときの支柱の高さと建物の横幅などが、この黄金比になっているそうです。ミロのヴィーナスでも、体型や顔形にこの黄金比が使われており、それを守るため意図的に腕をつけなかったというのです。

 
確かに改めてこの像を見ると、左腕は肩から欠けていますが右腕は明らかに人工的に切り取られていますね。興味深い話ではあっても、ほかの説同様にあくまで仮説です。失われた腕が発見されない限り、真実は解明されないでしょう。

ちなみに、ミロのヴィーナスが海外で展示されたのは、現在までにたった一度だけです。それが日本である事実には、日本人としてはちょっと嬉しく感じてしまいます。

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