2014年2月11日火曜日

科学が挑むポルターガイストの謎


壁の内側から聞こえる音、誰もいない部屋に響く足音。食器や小物が動いたり、人ひとりの力では持ち上がらないほど大きな家具が空間を飛ぶ…。

ポルターガイストは、ドイツ語の「poltern(騒がしい)」と「Geist(幽霊)」のふたつの言葉から生まれた呼び名の超常現象です。最も古い事例では西暦858年、ドイツ・ライン川沿いの農家で「悪魔が石を飛ばし、壁を打ち鳴らす怪現象が起きた」という記録があります。また、カナダ・トロントにある歴史的な建物「マッケンジー・ハウス」では、現在でもポルターガイスト現象が起きています。トロント市が建物保存のため古い登記書類を調べたところ、その目録に「幽霊1体」と記されていたそうですよ。

 
さて、この不思議な現象に科学が挑み始めたのは1882年。心霊現象の科学的調査を目的とした心霊調査協会が、イギリスに設立されてからでした。ポルターガイストのすべてが単なる作り話やイタズラではない、と信じる科学者たちにある方向への道筋を示したのが、20世紀初頭の心理学者ジークムント・フロイトです。それは、彼の無意識の心理と人間の行動との関連説でした。

ポルターガイストの事例を詳細に調べてみると、その幾つかに思春期を迎えた子供たちの存在がありました。人間の本能をまだ理性でコントロールできない年齢のとき、外部の力でそれを抑えようとして「無意識」のうちに発散されるエネルギー。ポルターガイスト現象は、この「負の心理エネルギーの実体化」だと考えたのです。しかしこれだけでは、一部の現象の説明に過ぎませんでした。イギリス・ケント州で発生したポルターガイストは、誰も住んでいない空き家の中から様々な音が聞こえました。心理エネルギー説だけでは、人が存在しない場所での現象は説明できなかったのです。

 
そこで、もうひとつ紹介する考えが「幽霊+心理エネルギー」という説です。フロイトより少し前の19世紀末の哲学者アラン・カーデックの説で、「ポルターガイストは悪霊が起こす現象であり、彼らは自分が亡くなった認識がなく、生前の家に住み続ける。そして空間に漂う人間の微かな心理エネルギーを利用して物を動かす」というのです。フロイトの登場より前に提唱されたこの説は、ある時期まで多くの科学者が賛同しました。

 
こうして、ポルターガイストを巡る科学的な議論は、フロイトの無意識説とカーデックの心霊現象説を軸に展開されてきました。しかし、心霊現象説ではまず霊の存在を証明しなくてはならず、無意識説も「負の心理エネルギー」がどのように物を動かすのか立証されていません。それゆえ現在では、イタズラ説や建物の構造説が主流になっているのです。

 
ポルターガイスト…この不思議極まる超常現象の科学の挑戦には、限界があるのでしょうか。議論や研究は地道ながらも続いているようなので、謎は必ず解き明かされると信じたいです。

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