平安時代に書かれた、日本の古典文学の傑作「源氏物語」。日本人に広く知られるこの作品は、現在でも解明されない多くの謎を秘めています。今回はその、「源氏物語」の謎を語ります。
この作品が世に出たのは、西暦1000年ごろというのが一般的だそうです。しかし、それも定かではないとか。作者とされる紫式部が記した、いわゆるオリジナル原稿は現存していないからです。現在、わたしたちが目にする源氏物語は、鎌倉時代に複数の人物によってまとめられた写本が原本になっているのです。しかもそれは、オリジナルを正確に書き写した物ではなく、当時、幾つか伝わっていた物語を整理した内容であり、当初の「源氏物語」がどのような内容だったかはほとんど解っていないそうです。
さらに謎なのが、作者の紫式部。いつ生まれ、いつ亡くなったのか、その本名、そして実在すらも疑う研究者がいるのです。「源氏物語」の作者に関しては様々な説があり、全54巻のうち、幾つかの巻をそれぞれ別人が書いたとする複数説や、実はほとんどが紫式部の父親の作品で、娘がそれを引き継いだという親子共作説があります。中でもわたしの興味を惹いたのが、歴史作家・藤本泉氏の男性作者説です。つまり、紫式部は男性だったかもしれないという、実に大胆な説なのです。藤本氏はその根拠として、「源氏物語」での描写を挙げています。紫式部には、娘がひとりいたとされています。なので、生後50日の赤ちゃんが笑ったり、7か月で歩くなどの描写は、子供を産み育てた経験のある女性では有り得ないと言うのです。そして、物語に登場する光源氏こそ、作者が自身を投影させたキャラクターであり、その人物は醍醐天皇の子・源高明(みなもとのたかあきら)だと主張しています。高明と光源氏の身上がとてもよく似ている事や、物語に描かれる宮中での行事を、実際に高明は「西宮記(さいきゅうき)」という記録書に残している事などが、この主張の根拠だそうです。
「源氏物語」のオリジナルは、どのようなお話だったのか。作者はひとりの女性で実在したのか。この謎は、もはや永遠に解明されないかもしれません。
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